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弊社日記

セルフ出版社、隙間社による日記。
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『ヘンリー・ダーガー 非現実を生きる』編著 小出由紀子
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    こんばんは、弊社です。

    今回から始まりました読書感想文です。記念すべき読書感想文一冊目はこちら。

    『ヘンリー・ダーガー 非現実を生きる』

    この本を買ったのは実は3年前くらいなのですが、読みたい本を積みに積んでいた結果、ようやく先日読み始めることになりました。そしてこれがまたべらぼうに面白い。

    ヘンリー・ダーガーを知らない方のために説明しておくと、ダーガーは死後その作品が発見され評価され作家です。なのですが、なにも不遇な作家という訳ではありません。そもそも作家という意識は本人にはなかったと思われます。

    1973年、アメリカで1人の孤独な老人が亡くなりました。彼はいわゆる底辺の暮らしをしており、近所の人間も人付き合いの悪いみすぼらしい男としか認識していませんでした。

    遺品を片付けるためにダーガーの部屋に入ったアパートの大家、ネイサン・ラーナーはその部屋にあった大量のガラクタ(トラック2台分との記載が!)を処分したあと、ダーガーのトランクの中の奇妙なものを発見しました。

    『非現実の王国で』と表紙に記された15冊分の原稿。約半数はダーガー自らにより製本されていたそうです。そしてその原稿の内容を図解する絵を集めた巨大な画集が3冊。それが孤独な老人、ヘンリー・ダーガーの秘密でした。

    正式なタイトルは『非現実の王国として知られる地における、ヴィヴィアン・ガールズの物語、子供奴隷の反乱に起因するグランデコ-アンジエリニアン戦争の嵐の物語』。

    それは架空の世界の(膨大な)歴史の集積でした。子供を奴隷とし虐待する大人たちの王国、グランデリニア国。それに反対し抗戦するキリスト教の国の対立を、ヴィヴィアン・ガールズという7人の少女たちを主人公として描いた物語。タイプ原稿は1万5千枚に及んだそうです。

    また注目すべきは文章だけでなくダーガーの作り出したイラストで、彼の住むアパートのゴミ捨て場や路地裏から拾ってきた雑誌や新聞、漫画などを集めそれらをコラージュし、彩色し、初期の頃の挿絵を作成していました。

    『作品』が進むにつれコラージュの技法は減っていき、集めたコレクションの中から構図を参考にし自らの絵でその世界を表現していくようになりました。

    大家であるラーナーは偶然にも写真家であり工業デザイナーであった為、すぐさまその美術的価値を認め美術関係者にその『作品』を紹介し始めました。

    そうやってダーガーの『作品』は少しづつ有名になり、やがて彼の死後40年を経て美術館に収蔵されるとこになりました。今でも彼の作品は、謎を残し続けたまま多くの人間に愛され続けています。

    この本ではそういったダーガーの出生や歴史、作品への考察、そしてその物語の概要とダーガーによるイラストがフルカラーで紹介されています。

    眩暈のするような非現実の洪水。小説家という、虚構の作り手なら誰もがその世界の美しさ、切実さに心を打たれるのではないでしょうか。

    ダーガーの作品が特異なのは、彼が物語を作ろうとしていたのではない、という点です。彼は世界を作ろうとした、のでもありません。彼は正しく存在する(べき)世界を書き記しただけなのです。

    一部では彼の作品をアウトサイダーアートやアールブリュットと捉えているようですが私は違うと思います。もっと言ってしまえばアートと言うのも違う気がする。彼は単に記録者であったのではないでしょうか。

    ちなみに、やくしまるえつこの詩と坂口恭平のエッセイ、そして丹生谷貴志の評論が載っていますが、面白かったのは坂口恭平のエッセイ『ヘンリー・ダーガーという技術』。

    坂口氏も私と同じく紙でファミコンをして手づくりでRPGをプレイしていたようで驚きました。そういう人、私が知らないだけで意外といるのでしょうか。

    実は伊藤なむあひ氏の作品にも、ヘンリー・ダーガーに間接的に影響を受けたものがあります。『少年幻想譚』に収録されれている『死体の町へ。』と『ヴィーギー・ランド』です。

    『死体の町へ。』のラストに出てくるゲームの中身が『ヴィーギー・ランド』ということになっているのですが、『ヴィーギー・ランド』の中の国王、ヴィーギー・フロッサイムのモデルとなったのはヘンリー・ダーガーだったのです。

    なむあひ氏は4〜5年前に森美術館で行われていた『ヘンリー・ダーガー展』に行った際に、既にその世界の洗礼を受けていました。

    もう消えてしまった彼のブログには、とある島でヴィーギー・フロッサイムの作品を知り、数年後忘れた頃にヴィーギー・フロッサイムのドキュメンタリーフィルムを観た、というような記事がありました。もちろんヴィーギー・フロッサイムは実在しません。ですがなむあひ氏はいないはずの彼を、その周りを書くことで空白のまま浮び上らせようとしたのです。

    結果小説作品として残ったのが上記の2作品という訳です。彼にはいつか違う形でヴィーギー・フロッサイムを現出させて欲しいですね。

    伊藤なむあひ『少年幻想譚』


    長くなりましたが以上で第1回隙間社読書感想文はおしまいです。次は村上春樹『職業としての小説家』を予定しています。

    では今夜はこの辺で。



    代表 ヌネノ川

    | 隙間社的読書感想文 | 22:00 | comments(2) | - |
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    0
      | - | 22:00 | - | - |
      ヘンリーダガーは前々から気になっていたんだけど隙間社さんに先を越されていたなんてね。彼の作品は知らないけれど境遇は魅力的だわ。でも、ああは生きられないわね。だからこそ人を惹きつけるんでしょうけど。
      村上春樹さんの職業としての何とかは読んだわ。次はちゃんとついていけそう。期待しているわ。でもあんまり頑張りすぎないでね。今日の記事はとても熱心に書いているから続くかどうか不安になったの。
      あっ、ごめんなさい。一回目からこんなこと言って嫌な気分にさせたかしら。とにかく私も読んだ本をあなたがどんな風に感じたのか気になっているわ。じゃあね。おやすみなさい。

      Allyより
      | アリー | 2016/04/11 11:13 PM |
      アリーさん
      またコメントありがとうございます!ダーガーはいつか原本を読んでみたいのですが量が膨大なうえに一般の人間は閲覧出来ないようですね。残念です。
      確かに今回の記事は初めての読書感想文ということもあっていつものり力をいれて書いてしまいました。長続きしなくては意味がないので次からはもう少し肩の力を抜いて書こうかと思います。嫌な気分なんかじゃないですよ。お気遣いが嬉しいです。
      ただ、他の人が読んでいる本について書くというのは緊張しますね。
      また月末にでも感想を書く予定です。
      ではまた。
      | 隙間社 | 2016/04/12 7:40 AM |