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弊社日記

セルフ出版社、隙間社による日記。
KDPのことや作品紹介が中心です。
*隙間社は任意団体です*
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『動物記』高橋源一郎
0
    前回の感想からかなり日が開いてしまいましたね。お久しぶりです、弊社です。

    さて、毎年この時期は副業であるところの仕事がかなりバタバタとしていつも本を読むどころではなくなるのですが、今回はどうしても今年中にこの本を読まなくてはいけないと思いちょっと無理をしつつも読了しました。高橋源一郎さんの『動物記』です。ええと、ちょっと長くなりそうですが良ければお付き合いください。

    さて、まずはなぜ今回この本を読もうと思ったかというと、実はなむあひさんがいま書いている初の長編小説『かれらの7日間戦争』(以下『かれらの』)とモチーフが酷似しているのではないかと思ったからです。

    この本を見つけたのは私がさいたま新都心にある紀伊國屋でした。
    買い物のためにコクーンという巨大商業施設を訪れたのですが、そのなかに紀伊國屋さんが入っており「へーこんなところにもあるんだー」なんて思いながら立寄りました。
    そしてなんとなく見に行った日本文学のコーナーにこの本がありました。帯には『言葉』、『動物』、『戦争』という『かれらの』でまさにキーワードとしていた言葉が散りばめられていたのです!
    めまいを感じながらも中身をパラパラと(失礼)めくってみます。シロクマさん、パンダさん、カンガルーさんといった動物たちが人間的なリアリズムのなかで暮らしている様子が描かれたいました。
    またパラパラとめくってみると、過去にあった『事件』で人がいなくなったことが描かれています。
    「いまこれを読んではいけない!」という予感がありました。私はすぐにその予感に従い本を棚に戻し、そして紀伊國屋をあとにしました。
    そしてそのことを何人かの方に相談してみたのですが、そのなかのひとりが「読んでみて似ているところと違うところを見極めると良いのではないか」というアドバイスをくれました。そして「主に不満を感じたところを意識して改稿したらどうだろうか」とも(共に要約)。

    『かれらの』は2016年5月1日から同年11月末まで手書きで書いたのですが、それを2017年1月から本格的に清書しつつ改稿しようと思っていました。ですがそれを前にしてこの小説の存在を知り怖気付きそうになっていたのです。
    そのアドバイスを聞き、なるほどなと思いました。私はそのことを早速なむあひさんに伝え、まずは自分で読んでみることにしました。

    『動物記』は九つの章から成っており、最初は『動物の謝肉祭』からはじまります。森の動物たちが出てきて人間世界での俗物的な内容の話を、作者の存在を匂わせる会話で進めていきます。少しだけ『ペンギン村に陽は落ちて』を思い出しました。そしてページが進むにつれ会話は投げやりになっていき最後はこの後の物語の要約で終わります。このあたりのわざとらしさは最近の著者に対する私の苦手意識につながります。
    次の『家庭の事情』では、妙齢の動物たちの結婚や夫婦事情、嫁姑問題についてのことが描かれていました。ゴシップ的な面白さはあるものの、小説としてはうーんといった感じです。
    『そして、いつの日にか』では二葉亭四迷と思わしき芝犬のタツノスケくんの、死期が近づいた船上での出来事が描かれていました。この時点で『日本文学盛衰史』の焼き直しかと思いました。ですが面白くなってきたのはここからでした。
    芝犬のタツノスケくんの死の間際の思い出として世界中の『人』が突然姿を消した日のことが語られます。
    犬たちは『主人』の消失に戸惑いながらもやがて『人』が作り上げた『世界』を継承しようと決意したこと。
    『人』の言葉を翻訳しようとした芝犬のタツノスケくんの苦悩が明治の小説家の苦悩と重ねて語られていくのです。
    続く『宇宙戦争』の語りは『ゴヂラ』を思い出しました。人生に疲れたような男のもとに深夜、なんにんもの謎の人物から「宇宙戦争がはじまった」という電話が来るというもの。
    『変身』はそのまんま、カフカの『変身』よろしくある朝起きると『人間』になってしまっていた様々な動物たちの様子を動物薀蓄とでもいうような情報とともに描いていきます。だんだんと食傷気味になってきたところで突然『神さま』の存在が匂わされ、『輪廻転生』という言葉が出てきて「to be continued」という冗談めいた文章(案の定なににも続かない)で終わる。このあたりの、とにかく意味ありげなものを物語の先に提示する感じは私が著者の作品から少し離れてしまった頃の作品と同じでした。
    ネタか本気か分からないが、とにかく書いてその先はあとで考えるという、彼が書くスタイルを変えたであろう時期の文章を思い起こさせます。
    『文章教室』と題された章は1から3まで続き、文章教室の教師を営む男の生活が描かれています。文章教室、なんて聞くとつい『さようなら、ギャングたち』を思い出してしまします。
    内容は動物の『刑務所』をまわって『タンカ』を教える男がそこでシやウタの本質に迫るタンカに出会いそれを解説していくという、小説というより著者の『文章教室』系の本のような内容でした。
    最後の章である『動物記』は、また急に視点が変わり高橋源一郎本人と思わしき男の語りで進んでいきます。
    死を意識し始めた著者(と思わしき男)の飾りのない語りには、これまでの文章にはなかったような凄みがありました。

    読み終えての感想としては、高橋さん、また面白い小説を書いてくれた!という喜びが大きかったです。上に書いた通り、やや読むのが辛かったり自己模倣を思わせる部分もありましたが、結論としては『言葉』について一番考え一番面白く書けるのはやっぱりこの人だったんだ、という感じです。読んでよかった。
    私は彼の初期の小説が好きでした。『言葉』について違和感や疑問のようなものが全ての文章にはこもっているからです。たぶん、そう方も多いのではないのでしょうか。
    ですが今回の『動物記』をはじめとするある時期以降の彼の作品は、小説を通してそれらを表現する、またはその違和感や疑問について考える過程を小説としている、ということなのだと思います。
    アドバイスをくれた方には感謝しています。そして、これを読んでなむあひさんが『かれらの』をどう改稿していくかはぜひnoteでお確かめください。
    2016年12月27日現在は、手書き分すべてと清書版の第1章が無料で読めます。

    伊藤なむあひnote

    ではながくなりましたがこのへんで。


    隙間社代表 伊藤潤一郎



    全然関係ないですが追記です。なむあひさんの応募した小説が11月の優秀作品に選ばれていました!
    BOOK SHORTS
    隙間社の2017年の目標は、インディーからも商業からも、なのでフライングスタートのつもりで頑張ります!




    | 隙間社的読書感想文 | 17:00 | comments(2) | - |
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    0
      | - | 17:00 | - | - |
      ”シートン動物誌”も面白いわよ。有名な”記”じゃない方ね。”誌”の方
      文学じゃなくて文献資料的な物なんだけど意外に詩的よ。
      ただしピューマとオオカミでやる気なくなった感はあるけどね。

      とっても面白い本なんだけど、もう新刊では出回っていないんじゃないかしら。図書館で読むことをオススメするわ

      デイジーより
      | デイジー | 2016/12/27 5:33 PM |
      デイジー!お久し振りです。こちらはお正月なのですが火星にもお正月はあるのでしょうか。
      シートン動物誌、存在だけは知っていましたが気になりますね。最近、近所に良い図書館を見つけたので今度読んでみますね。
      | 隙間社 | 2017/01/02 4:54 PM |